香典を辞退して送り返すという行為は、昔からのしきたりとは異なる現代的な考え方です。
でも、香典辞退が増えている今、香典を送り返す際の正しい作法について知っておく必要がありますよね。
この記事では、香典辞退の理由や送り返し方のマナーについて、くわしく解説していきます。
まずは香典辞退と送り返しについての結論をお伝えします。
- 香典辞退は非常識ではなく近年増加している新しい形の葬儀スタイル
- 故人の遺志や家族葬という形式を選んだ場合は香典を辞退して送り返すのが自然な選択
- 送り返す際は丁寧な手紙を添えて相手の気持ちに配慮した対応が必要
- 一度受け取った香典を後から送り返すのは避けるべき
それでは、これらの内容についてくわしく見ていきましょう。
香典辞退と送り返しが増えている3つの理由
近年、香典辞退の葬儀が増加している背景には、いくつかの社会的な変化があります。
1. 家族葬の増加
最近では、身内だけで執り行う「家族葬」を選ぶ方が増えています。
家族葬では、親族以外の方からの香典をお断りするのが一般的です。
このような小規模な葬儀では、香典の授受による人間関係の複雑化を避けたいという考えがあるのです。
たとえば、会社の同僚の中で香典を受け取る人と辞退する人が出てくると、気まずい雰囲気になってしまいます。
そのため、一律で香典を辞退するという選択をする方が増えているのです。
2. 故人の遺志の尊重
生前に「香典は要らない」という故人の意向があった場合、それを尊重して香典を辞退することがあります。
故人が生前、人に迷惑をかけたくないと考えていた場合、その思いを大切にしたいという遺族の気持ちが表れているのです。
このような場合、香典を無理に受け取ることは、かえって故人の意向に反することになってしまいます。
ふわっとした言い方ですが、故人の最期の思いやりの気持ちを形にするという意味で、香典辞退には大きな意味があるのです。
3. 香典返しの負担軽減
香典を受け取ると、一般的には香典返しを用意する必要があります。
この香典返しの準備は、葬儀後の遺族にとって大きな負担となることがあります。
悲しみの中で香典返しの品を選び、配送の手配をするのは、心身ともに疲れる作業なのです。
そのため、はじめから香典を辞退することで、遺族の負担を減らすという考え方が広まってきています。
香典を送り返す際の正しい手順と注意点
香典を送り返す際は、相手の気持ちを考えた丁寧な対応が必要です。
1. タイミングと方法
香典を送り返す際は、以下の手順で行うのがベストです。
- 葬儀から1週間以内に送り返す
- 丁寧な手紙を添える
- 配達記録が残る方法で送付する
- 郵送料は遺族側が負担する
特に、送り返す際の手紙の内容は重要です。
以下が、手紙の基本的な構成例です。
書き出し | 拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。 |
お悔やみ | このたびは、心よりお悔やみ申し上げます。 |
辞退理由 | 誠に勝手ながら、故人の遺志により香典は固くお断りさせていただきます。 |
感謝 | お心遣いだけで十分でございます。生前賜りましたご厚情に深く感謝申し上げます。 |
結び | 今後とも変わらぬお付き合いを賜りますようお願い申し上げます。 |
2. 注意すべきポイント
香典を送り返す際は、以下の点に気をつける必要があります。
- 一度受け取った香典は原則送り返さない
- 事前に香典辞退の意向を伝えておく
- 相手の気持ちを十分に考慮する
- 感謝の気持ちを必ず伝える
独自の香典辞退の対応方法
香典辞退の際、相手の気持ちも大切にしながら対応する方法をご紹介します。
1. 献花やお供えへの切り替え提案
香典を辞退する場合は、代わりに献花やお供えをしていただくようお願いする方法があります。
これは、金銭の授受を避けながらも、相手の弔意を形にできる良い方法です。
たとえば、お通夜や葬儀の案内状に「香典辞退」と記載しつつ、「お花やお供物でご弔意を賜れば幸いです」という一文を添えるのです。
このように対応することで、相手の気持ちも受け止めつつ、香典返しの負担も避けることができます。
2. 寄付という選択肢
香典として受け取ったお金を、故人にゆかりのある団体や社会貢献活動に寄付する方法もあります。
この場合、以下のような文面で案内するとスムーズです。
「御香典は辞退させていただき、お気持ちは○○団体への寄付とさせていただきます」
この方法なら、香典を包む方の気持ちを無にすることなく、社会に還元することができます。
よくある質問
Q. 香典辞退の意向を事前に伝えていたのに、当日香典を持参された場合はどうすればいい?
A. このような場合は、以下の対応がおすすめです。
まずは、気持ちに配慮しながらも、きっぱりとお断りします。
「お気持ちは大変ありがたく、深く感謝申し上げます。ですが、故人の遺志により香典は固くお断りさせていただいております」
それでも強く渡そうとされる場合は「お気持ちは○○への寄付とさせていただきます」と伝えるのも一案です。
Q. 一度受け取った香典を後から送り返したいときは?
A. 一度受け取った香典を後から送り返すのは、できるだけ避けましょう。
というのも、これは相手の気持ちを踏みにじるような行為と受け取られかねないからです。
もし、どうしても返したい場合は、以下の点に気をつけましょう。
- 丁寧な説明の手紙を添える
- 相手の気持ちへの感謝を必ず伝える
- 今後も変わらぬお付き合いをお願いする旨を記載する
まとめ:香典辞退と送り返しの心得
最後に、香典辞退と送り返しについての重要なポイントをまとめます。
- 香典辞退は時代の流れに沿った新しい形の葬儀スタイル
- 送り返す際は必ず丁寧な手紙を添えて相手の気持ちに配慮
- 一度受け取った香典の送り返しは極力避ける
- 献花やお供えへの切り替え、寄付という選択肢も検討
- 事前に香典辞退の意向を明確に伝えることが重要
香典を辞退する際は、相手の気持ちを第一に考え、丁寧な対応を心がけましょう。
そうすることで、お互いの気持ちを大切にした、これからの時代にふさわしい弔意の形を作ることができます。
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